相談支援のプロ

患者に関わる職種として、患者の身体に直接関わる医師、看護師、介護士を思い浮かべる方が多いだろう。しかし、病院の医療相談員(MSW)、ケアマネージャー、社会福祉士、精神保健福祉士、ケースワーカーといった患者家族の生活や経済に関わる相談を受ける職種も重要である。医療職は制度には誠に疎い職種だが、彼らは制度に精通した職種であり、患者家族の療養生活を支える上で彼らの協力を欠かすことはできない。今回は、私が忘れることができないMSWのTさんのお話である。

医学生時代、病院実習に行くと医師や研修医に付いて実習するだけでなく、看護師、療法士、薬剤師、MSWなどに付くことがある。私がN病院で実習した時に出会ったのがTさんだった。時が過ぎ、うつ病とパニック障害を抱えた40代男性の方と知り合った。彼は目の前で同僚がくも膜下出血で倒れて亡くなるところに遭遇し、それ以降、少しでも体調が崩れると自分も同僚と同じように死ぬのではないかという不安に襲われるようになった。その度に医療機関を受診するのだが、やがて休職を経て無職に追い込まれた。しかも無保険となっても受診を続け、複数の医療機関でMRIなどの検査を受け続けたために貯金も底を尽いた。途方に暮れる彼を見かねた知人が、大きな病院には経済的な悩みも相談に乗ってくれる部署があるから訪ねてみてはどうかと助言した。そこで彼が訪ねたのがN病院であり、対応したのがTさんだった。彼から話を聞いたTさんは、その足で彼を役所に連れて行き、生活保護などの諸手続きをしてくれたのだと言う。「Tさんとは面識があってね。数ある病院の中でよくN病院を訪ねて行ったね。N病院じゃなかったらそこまでしてくれないよ」と驚嘆した。同時にTさんが私に言った言葉を思い出した。「私たちは相談支援のプロです…」

私たちもTさんのように患者家族に熱い医療職であり続けたい、そしてTさんのような熱い相談職から信頼される医療職であり続けたいものである。